経 絡 治 療 と は ? | ||
鍼 灸 | ||
鍼灸治療は、伝統的な概念である経穴(ツボ)と呼ばれる体表部へ鍼と灸を作用させ病体を治療します。 病体を診断する際、症状や現代医学による診断病名はもちろんのこと、経穴の反応も病気のメカニズムを現すものとして扱います。 |
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経 絡 | ||
経絡治療は、「経絡」を診断治療の場として掲げています。経は「縦」を意味し、絡は「まとう」という意味があります。文字通り経絡は全身を循行し、五臓六腑と繋がり、生命活動の根幹を成しています。経絡をめぐるものは気血(※1)であり、気血の活動を体表に反映するものとして経穴が考えられています。 | ||
気 血 の 過 不 足 | ||
伝統医学では気を病むことから種々の症状を現すものとされていますが、現在も各病変を「病気」と呼ぶのはここに由来します。人体は様々な要因によって気血の過不足(※2)を引き起こします。この病的状態は経絡のはたらきに影響します。 | ||
全 体 を 捉 え る | ||
鍼灸医学的診断法(※3)に導き出された情報を法則的(※4)に判断し、病体全体を捉えます(※5)。経絡治療はこの法則に従って治療を行うことが特徴です(※6)。 | ||
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※1 気(氣)は炊飯の蒸気昇る様を意味し、その形のないエネルギーをして「万物の働き」を意味する。 ※2 鍼灸医学では、虚実と言い表す。 ※3 四診法と呼び、望診・聞診・問診・切診の各診断を用いて経絡の変動を把握する。 ※4 陰陽論・五行説などの伝統的概念を用い、病態を把握する。 ※5 証という鍼灸医学独特の概念。「証を立てる」 ※6 証に従って治療をすることから、随証療法と呼ばれている。 |
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経 絡 治 療 の 歴 史 | ||
日本の鍼灸は、湯液と共に漢方医学として医学の主流を担うものでした。仏教伝来と同じく遣隋使・遣唐使により大陸から伝わり、日本の文化や風土の影響をうけて独自の発展を遂げました。江戸期に最盛期を迎えると広く生活の中にとけ込みます。 しかし、明治政府の国策により西洋医学が推奨されたために、伝統的な鍼灸医学は衰退してしまいます。 昭和の初め頃、主に病名や症状にのみ従って鍼灸治療が行われていた現状に対して、古典に還って伝統的・東洋医学的な鍼灸を見直そうという気運が高まります。その結果、昭和14年頃に形づくられたのが経絡治療であり、単に症状を局所的に治療するのではなく、病体全体をくまなく診断治療するために提唱されました。 |
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〈つづく〉 |